5.色予測(染料指定と染料濃度%から色を予測)
色予測ってなに?
染色現場の初心者にとって、染料をどれだけ配合したらどんな色に染上がるか、これは大きな問題です。
染色のベテランだって、どこまで正確に予想できるでしょうか?
そんな疑問に答えてみたいものです。
上図の色三角は、三角によって得られる3染料の染料濃度%に従って色予測したものです。
各々の色をマウスでクリックすることにより、右上に染料名と配合%が表示されます。(Realtime_Color_Libraryより)
☆ 色予測とは (パソコンによる色予測!)
CCMでは与えられた色から染料濃度%を答えてくれます。
色予測では、逆に染料濃度%から色を予測します。
ここでは色予測の仕組みを説明します。
トップ画面の色予測では、染料を選択(黄赤青)し濃度を同じ順に2.5% 0.1% 1.0% と入力しています。
このとき、各々の染料濃度で染めた染色布の反射率曲線は、図が示すa,b,cで示されます。
しかし、このままでは加算できませんが、それぞれをK/Sに変換(d 図、黄赤青)すると合計できて、d 図緑になります。
この緑線を反射率に戻すと、トップ画面の色、色窓(右)になるわけです。
参考
反射率(R)と K/S の関係は、K/S = (1-R)*(1-R)/2/R または K/S = x のとき、 R = x - sqr(x * x - 1) の関係があります。
a.Yellow 110 2.5% Ref 染料濃度2.5%の反射率曲線
b.Red B 122 0.1% Ref 染料濃度0.1%の反射率曲線
c.Navy F 133 1.0% Ref 染料濃度1.0%の反射率曲線
d.染料のK/S曲線(黄赤青)と、各々のK/S値を合計した曲線(濃緑)
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a.Yellow の反射率曲線 |
b.Red の反射率曲線 |
c.Blue の反射率曲線 |
d.3染料のK/S曲線及び合計曲線 |
☆ 3染料色予測の操作
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★@染料の選択(3染料を指定します。)
ここでは黄赤青と選択していますが、どれでも自由に選べます。
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★A染料濃度%の入力
前項で指定した染料と同じ順で入力します。
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★B色予測を実行します。(実行ボタンをクリック)
実行ボタンは最上部のトップメニューにあります。
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★C色予測結果
予測の色を、色窓(右)に表示します。
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色情報として三刺激値(XYZ)の他Lab値も表示しています。
併せて、Lab座標にも×点として印しています。
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★D 色予測結果
指定した染料コード、染料名及び入力した染料濃度を表示します。
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4染料色予測
4染料色予測では、110 Yellow = 3.9101,121 RED Y = 0.8449,131 BLUE G = 2.0430 と、
第4染料 243 GREY B = 0.0123% (固定)で色予測をします。
結果は(三刺激値 X = 5.80,Y = 6.21,Z = 4.28)でした。
参考.1.色合わせとは、4染料CCMの目的色(a189,三刺激値 X=5.79,Y=6.20,Z=4.28)
4染料色予測した結果の画面4染料CCMで求めた染料濃度%を逆に用いました。)
色予測は、1染料数、2染料でも可能です。
色予測した三刺激値XYZをCCMの目的色にしてCCMを実行した場合、当然ながら元の値(極めて近い近似値)なります。
☆ CCM精度(準備中!)
単純に、「CCMではどの程度に色合わせできるか」を考察します。
それぞれの画像に8点の比較見本があり、
中心が目的色、左と右はAシステムとBシステムのCCM結果から染色したものです。
生地、染色の条件が同じであるため、違いはAシステムとBシステムのCCMシステムしかありません。
試料は写真撮影によるものですが、総じて結果にあまり差は見受けません。
(外れるときはAシステムでも、Bシステムでも外れている)
色の比較には、それぞれの画像をクリックし拡大画像から判断をしてください。
以上のCCM比較は、写真撮影ではわかりにくいのですが、目視ではp.3のグレー色を主に、Aシステム及びBシステム共に目的色とは微妙な色違いがあります。
しかし、いずれも試染CCMで十分補正されるレベルで、総じて良好なCCM結果であると言えます。
一般に目的色から異なるCCM結果が得られる誤差、CCM結果の染色上がりについて、以下のことが考えられます。
(注.CCM結果の染色上がり:CCMの結果色ではなくて、CCM結果の染料濃度により染色して得た色のこと)
[誤差] = [目的色] − [CCM結果の染色上がり]
(誤差がゼロの場合は、目的色に完全一致のCCM結果の染色上がりということです)
この誤差は、次のように分けられます。
誤差=[1.生地]+[2.染色条件]+[3.基礎データ]+[4.測色条件]+[5.メタメリズム]+[6.誤差]
例えば、仮に反応染料染め・綿素材でCCMを利用する、という場合
1.生地の違い。目的色の素材はポリエステルであるなら生地違い。
綿素材を染色するのに、目的色は他の繊維ということはよくあることです。
2.染色条件の違い。綿の目的色であるが、例えば直接染料で染めている。
見た目には近い色であっても、測色の結果とは一致しないことがあります。
また、捺染で生地の表と裏で色が異なるため、問題になることがあります。
3.基礎データの違い。
基礎データは別の素材の場合である。これもCCMには理想的でありません。
4.測色条件の違い。
目的色の色情報の入手先不明とか、別途入手した基礎データを利用する場合のことです。
5.照明条件が異なる場合。
演色性、メタメリズム、等色条件など要は、色を比較するときの環境(光源)の問題です。
6.自然に生じる避けられない誤差
理由は分からないが、CCM結果がズレることがあります。
別の可能性としては、染料自体が湿度により変化していて、計量誤差を生ずる場合があります。
従って現実には非常に難しいことですが、誤差を小さくするにはできるだけ同じ条件にすべきです。
(CCM精度についての統計的処理については後述)
☆ 通信(資料配布)
興味のある方は?
色予測とCCMとには、明瞭な因果関係があるので、確認してみた。
色予測結果の出力例
3染料色予測とそれに第4染料を加えた、4染料色予測と連記しています。
色予測結果・テキスト印刷 例
3染料色予測とそれに第4染料を加えた、4染料色予測と連記しています。
色予測結果・ハイパーテキスト印刷 例
トップ画面の色予測結果には、色予測値(三刺激値 X=10.55, Y=11.74, Z= 8.36)があるので、
この値および同じ染料の選択でCCMを試みた。
結果は、110 Yellow = 2.4959% 122 BLUE G = 0.1010% 133 Navy F = 0.996% であった。(入力値は各々 2.5% 0.1% 1.0%)
逆に予測の色(三刺激値)でCCMを実行した結果
操作説明の場合についても、色予測値(三刺激値 X=26.73, Y=28.66, Z=49.20)からCCMを試みた。
結果は、110 Yellow = 0.0101% 121 RED Y = 0.0350% 131 BLUE G = 0.4184% であった。
(入力値は各々 0.01% 0.035% 0.42%)
逆に予測の色(三刺激値)でCCMを実行した結果
☆ リンク集
色彩のあれこれ 染色の色予測
染料濃度%を直接入力するか、染料濃度を対数目盛のスライドバーからマウス操作で設定できます。